街頭ラックに風俗求人誌、規制逃れで爆発増
性風俗店の求人フリーペーパーが、飲食店の店先や街頭に設置されたラックに置かれて不特定多数に配布されているとして、大阪市は今月中旬から、初めての実態調査に乗り出すことを決めた。設置場所は大阪市内だけで約1000カ所に上るとされ、同市は5月末をめどに結果をまとめ、今後の対策を講じる。
学校付近に設置されたラックも多く、風営法で規制されている性風俗店での年少者(18歳未満)雇用を助長する恐れもあり、大阪府警も街頭ラックの監視を強化していく方針。
大阪府迷惑防止条例では、求人募集を含む迷惑ビラを公共の場で配ることを禁じており、府警は「要請があれば、指導や取り締まりも行いたい」としている。
市こども青少年局などによると、性風俗店の求人に関するフリーペーパーは市内を中心に十数誌が発行され、ファッションヘルスやキャバクラなどの求人広告を掲載。ラック業者に段ごとの使用料を支払い、配送も委託している。設置場所は中小の飲食店や美容院、ビデオ店が中心という。
こうしたフリーペーパーの中には、グルメガイドや新作映画の紹介記事を載せるなど、一見すると一般のタウン情報誌のように見える媒体もあり、「風俗求人誌と気づかずに子供が家に持ち帰ってきた」「風俗の無料案内所と変わらない」などと、市に苦情が寄せられていた。
同局では、青少年健全育成の観点から「有害図書にあたる可能性もある」と判断。市内約3500人の青少年福祉委員に委託し、ラックが設置された場所や店舗名、求人誌の種類などの実態を調べる。
公道上に置かれたラックは無許可の屋外広告物とみなし、道路管理者と連携して撤去を進める考えで、店舗敷地内のラックについては「調査結果がまとまり次第、府警と連携して対策を検討したい」(同局)としている。
「月収80万円以上のバイト満載」。高収入をうたうフリーペーパーを街頭ラックに並べる風俗店の求人システムは、大阪府が迷惑ビラの規制を強化した平成17年末以降、取り締まりを逃れる形で爆発的に増加した。表紙はクーポン誌を装い、不動産情報誌などと前後して並べるラックも多く、実態調査を決めた大阪市は「気軽さから手に取る中高生も多い。悪影響は看過できない」と警戒を強めている。
女子高前にも
道路を挟んで女子高と向かい合う大阪市内のある飲食店前。生徒の通学コースだが、性風俗の求人フリーペーパーを並べた街頭ラックが公然と置かれている。
「関西お花見ポイント」との見出しが付けられた求人誌は、巻頭の花見特集以外は、SMクラブ、デリバリーヘルス(派遣型風俗店)などの求人広告が満載。
「絶対稼げる」「日給3万5000円以上」と活字が躍り、ホストクラブの割引券まで添付されていた。
女子高では「興味本位で生徒が持ち帰らないよう指導したい」と困惑した様子。
設置している飲食店主は「フリーペーパーの中身は知らない。『月1000円の場所代を払う』とラック業者が営業に来たので、置いているだけ」と話す。
システムは
業界関係者によると、ラックを使った求人システムが出現したのは平成18年ごろから。それまでは繁華街や駅前で業者が手配りするのが主流だったが、17年12月施行の府の改正迷惑防止条例で公共の場での性風俗の求人募集は規制対象となった。
「手配りすればすぐに警察に摘発される。対策として無人ラックが急速に普及した」と関係者は指摘する。
出版元は性風俗店から求人広告料を受け取ってフリーペーパーを編集。専門のラック業者に1段ごとの使用料を支払う仕組み。
設置場所の人通りや上段・下段で料金は異なるが、「ワンポケット2500〜3000円が相場」(関係者)という。
専門のラック業者は月額数千円の場所代を支払い、飲食店の店頭などに配置。女性がターゲットなので、美容室前に置かれるケースも目立つ。
各コンビニチェーンでは、フリーペーパーの取り扱いを本社で決定するといい、最大手のセブンイレブンは「店頭も企業イメージの大切な要素。性風俗の求人フリーペーパーを置くことは一切ない」(セブン&アイホールディングス広報センター)と話す。
地域で監視を
大阪府警保安課によると、昨年の迷惑ビラの摘発件数は府内で90件で、いわゆるピンクビラがほとんど。
こうしたフリーペーパーも同条例に抵触するとみられるが「タウン情報誌に近い作りの媒体もあり、一律に取り締まるのは難しい」のが現状という。
大阪市こども青少年局は「まずは地域で監視の目を光らせ実態把握に努める。ラックを置いている店側にも撤去するよう協力を求めていきたい」としている。
sankei.jp 2008.4.5 00:39